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Association for Connecting Stone Bridge to the Next Generation

石橋に関する豆知識report

~ 豆知識 ~
1.石橋の各部の名称と用語click here
  石橋の各部の名称と用語集です。「豊岡橋」を例に挙げて説明しています。
2.肥後の石工年表click here
 「肥後の石工」といっても江戸時代から明治時代まで数多くの石工がいました。その中でも加藤清正の熊本城築城に関わった「近江の石工」をルーツとする「仁平石工」グループと、長崎奉行所の武士「藤原林七」を祖とする「種山石工」グループの2つの大きな石工集団に絞って年表を作成しました。
3.通潤橋の仕組みclick here
  通潤橋の水の流れの仕組み(原理)を説明しています。
4.拱矢(きょうし)と拱矢比(きょうしひ)についてclick here
  石橋の諸元で”拱矢:〇〇m”と言った記載がありますが、拱矢と拱矢比について説明しています。

 

 橋長(きょうちょう)

 橋の長さのこと。欄干がある場合、欄干の端から端までを測る場合もあります。

 橋幅(きょうふく)

 橋の幅のこと。親柱に”昭和35年3月竣工”と刻まれており、この時に橋全体を嵩上げし、橋の両側を張出し、拡幅されています。(オリジナル:(2間・3.63m))

 親柱(おやばしら)

  欄干の端にある太い柱のこと。自然石、コンクリート製があり、橋の名前(漢字・平仮名)、川の名前、竣工年月などが記されています。

 輪石(わいし)

 アーチを構成する石で、めがね橋を支える一番大切な石です。

 要石(かなめいし)

 アーチの最頂部にある輪石のこと。

 楔石(くさびいし)
  = 太柄(だぼ)

 太柄(だぼ):輪石と輪石を継いだ石のこと。この技法は琉球式(沖縄)石組みといわれ、県内でもきわめて珍しい。

 壁石(かべいし)

 中詰め土砂が崩れないように、橋両側面の輪石の上方に積む石

 径間(けいかん)

 アーチの直径、アーチの内から内までを測ります。

 拱矢(きょうし)

 基礎(橋台)の上から要石の下側までの高さのこと。

  ※各部の名称と用語は、「日本の石橋を守る会」、「肥後の石橋(熊本国府高等学校)」のサイトを参考に記載しています。

 

【アーチ構造の仕組み】

 ・石は圧縮力に対して強度が大きいという特徴があります。
・アーチ形状をする輪石には、荷重を圧縮力に変えて橋を支える働きがあります。
・アーチ石橋が安定するためには、正確な石積みと頑強な基礎(橋台)が不可欠です。
アーチ石橋は、
(1)輪石自身が圧縮力に耐えられなくなった時
(2)輪石がアーチ形状を保てなくなった時
(3)輪石を支える基礎部分(橋台)が崩壊した時に落橋の恐れがあります。



画像をクリックすると大きく表示されます。
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通潤橋の水の流れの仕組み(原理)について説明します。
 通潤橋の水の流れの原理は「噴水管」や「逆サイフォン」という言葉で、Wikipedia等に説明されています。
「噴水管」や「逆サイフォン」の説明で間違いはないのですが、「連通管(れんつうかん)」が一番適切なようです。
【連通管(れんつうかん)】
 連通管とは、液体を入れる2つ以上の容器の底を液体が流通できるように連結した管である。「逆サイフォン」と呼ばれることもあるが、連通管にサイフォンの原理は働かない。長い管で底をつないだ連通管に水を入れたものは水盛りと呼ばれ、離れた2点の高さの差を測定する時に用いられる。(Wikipediaより)
(大工さんが使います。)

 ネット上に通潤橋は、「連通管」の原理を利用して造られていると言う、解りやすい説明図があったので、それを基にGIFアニメーションにしてみました。(エクセルで描いたので上手く描けていません)

山都町

↓もっと詳しく!
通潤橋について
通潤橋ライブカメラ
※夜間はライトアップされていないので見ることは出来ません。
放水は、毎週土、日曜日の13:00~
GW中は毎日13:00より放水されます。
放水カレンダーはこちらをご覧ください。

 通潤橋は、嘉永7(1854)年 四方を河川に囲まれた白糸台地に農業用水を送るため建設された石造りアーチ水路橋です。放水は通水管に詰まった堆積物を取り除くために行なわれています。サイフォン、逆サイフォン、連通管とは・・・熊本国府高校のサイトに説明されていますのでこちらをご覧ください。
・・・通潤橋、水路の仕組みは・・・


石管の様子
(2017/11/17)


石管の様子
(2019/09/28)


石管の様子
(2019/09/28)


放水口の様子
(2019/09/28)

工事中の様子です。
石管は外形約、90cm×90cm、通水孔約、30cm×30cm、W(平均)=900㎏

石橋の諸元で”拱矢:〇〇m”と言った記載がありますが、ここでは拱矢と拱矢比について説明します。
「拱」を辞典で知らべると、 拱とは・・・こまぬく/こまねく/両手を胸元で重ね合わせる/何もしないで、ただ見ているさまなどの意味をもつ漢字。
これだけでは眼鏡橋とは関係ないようですが、
「拱橋(きょうきょう)」とは、 両手を胸の前で組み合わせて敬礼する中国の礼儀作法で、 その形がアーチに似ているところから、中国ではアーチ橋のことを拱橋と言い、日本でも使われています。 「拱手(きょうしゅ)」とは、 カンフー映画などで戦う前、右手で作った拳の上に左手を包み込むようにして添えるポーズをしているシーンが見られます。 (ブルース・リーやジャッキー・チェンも良くやっていたような?)
「三国志」などのドラマで見かける挨拶「拱手」とは何か?

 このポーズは、相手に対する敬意や謝意をあらわす挨拶とされます。男性は左手で右手の拳を包み、女性は右手で左の拳を包むのが正規です。(他にも深い意味があるようです。)  新型コロナウイルスの蔓延後、台湾では握手の代わりとなる「拱手」を推奨しようという動きがあったのは記憶に新しいですね。(かっこいいので日本でも流行りそうですが・・・。)
 そして、 「拱」を英訳すると、 ”arch”(アーチ)なんですね!
 それでは本題に入ります。 「拱矢」とは、 両岸の基礎(橋台)を結んだ線より、要石(輪石の最頂部:アーチ中央部)の下側までの距離になります。
(本ページの石橋に関する豆知識=1.石橋の各部の名称と用語の図面参照)
 弧(弓)に弦に矢をつがえたような形(距離)になります。 「拱矢比」とは、 径間(スパン)を拱矢(ライズ)で割った値。アーチが完全な半円なら拱矢比は"2.0"になります。 径間10.0m、拱矢5.0mの場合 10.0÷5.0="2.0"が拱矢比になります。 すなわち、半径5.0mの半円と言う事です。 その半円の眼鏡橋が、熊本県下益城郡美里町に「霊台橋」が在ります。 霊台橋の拱矢比は、径間28.24m÷拱矢13.98≒"2.0"で半円のアーチ橋です。 本当に半円なのか、実証してみました。 霊台橋のアーチの中に巨大分度器(半円)を入れてみました。
注)こんなにでかい分度器はありません。
写真がオルソ画像※ではないので、まず、上手くいかないだろうと思っていましたが、 ナント!若干のズレはありましたが、アーチの中に巨大分度器がすっぽり入りました! 「霊台橋」は間違いなく、半円のアーチ橋でした。 しかし、大型機械も無い時代、人の力だけで見事な半円の拱橋(きょうきょう)を、わずか6~7か月の工事期間でよくぞ、架けたものです。
霊台橋(れいだいきょう):熊本県下益城郡美里町を流れる緑川に架かる江戸時代末期の石橋(国指定重要文化財)
※オルソ画像とは、真正面から見た画像を変換(実寸法(実縮尺)と同じにする。)した、歪みを補正した画像のことです。

※画像をクリックすると大きく表示されます。
※ここでは径間(スパン)を拱矢(ライズ)で割るスパンライズ比(拱矢比)で説明しましたが、専門的には、拱矢(ライズ)を径間(スパン)で割るライズスパン比を用いる場合があります。
スパン(=直径)2でライズ(=半径)1の半円のアーチの場合
●スパンライズ比:2/1=2(値が大きくなるにつれ扁平になる。)
●ライズスパン比:1/2=0.5(値が小さくなるほど扁平になる。)
このページでは、スパンライズ比の方が分かり安いと思うので、「スパンライズ比」で説明しました。

九州の石橋マップ

 石橋は、全国に約2,000橋(内90%が九州)在ります。
先人たちの知恵と技術の結晶である、石造りの眼鏡橋、桁橋、太鼓橋・・・。
このページでは、その石橋の位置を記したマップです。